地球の裏側にもうひとつの日本があった! パラグアイの日本人移住地がすごい
秋篠宮家の長女眞子さまが昨日、南米パラグアイへ出発されました。パラグアイには戦前の1936年から日本人の移住が始まり、今年で移住80周年ということで、その式典に合わせての公式訪問だということです。南米の日本人移住先というとブラジルやペルーが有名ですが、ところがどっこい。ここパラグアイの移住地は、日本の反対側にあるとは思えないほど、世界で一番日本らしいところなんです。というか、日本そのものなんです。今回はそのうちのひとつ、ピラポをご紹介しましょう。
パラグアイには入植順にラ・コルメナ(La Colmena)、チャべス(Chavez)、ラ・パス(La Paz)、ピラポ(Pirapó)、イグアス(Yguazú)といった日本人移住地があります。ピラポは4番目の移住地として1960年8月から移住が始まりました。最初に来たのはたったの26家族。パラグアイの移住地はどこもそうなんですが、入植当時のお話を聞くと、想像を絶する苦労をされていたことと思われます。現地は農地どころか平地すらないジャングル。夜にはジャガーの声が鳴り響き、時には気温40度を超える中、ひたすら木を切り倒し、山焼きをしながら開墾していったそうです。
この地道な努力は実を結びました。元々農業がなかったパラグアイで大豆や小麦を始めとした大規模農業に成功した彼らは、パラグアイの食文化改善に大きく寄与しただけではなく、パラグアイを一大農業国家に発展させたのです。パラグアイの大豆の輸出量はなんと世界第4位! パラグアイ人が日本人にとても友好的なのも、彼ら移住者の功績でしょう。でも私たちが感動したのは、それだけではありません。それは移住から80年経った今でも、彼らは日本人の心を忘れることなく、いやむしろ我々よりもさらに日本人らしく誇りを持ちながら暮らしているということです。
ピラポは首都アスンシオン(Asunción)の南東300km。ここで暮らす日系人はおよそ1200人ほどです。町に入ってみると、一見他のパラグアイの農村と変わりません。
しかしよく見ると・・・看板には全部日本語が! こちらは薬局。
幼稚園。
ひと際大きな建物はピラポ農協。中に入ると豆腐に味噌、醤油、納豆・・・日本のスーパーと本当に何も変わりません。これ、全部彼らが自分たちで作ったものなんだそうです。唯一作れないのは海苔だけだとか。実際何度かピラポの方々に招かれて食事をご馳走になりましたが、そこで食べたのはトンカツに巻き寿司に冷や奴に冷やし中華に・・・て、笑っちゃうくらい日本食でした。しかも日本で食べるより美味しい! そりゃ目の前で採れた野菜で作ってますからね。
特筆すべきは、学校です。授業ではなんと日本の国語の教科書を使っているそうです。パラグアイの日系社会の特徴は、日本語の語学能力が非常に高いこと。2世、3世の方たちとお話ししていても、普通の日本人と会話しているのとまったく違いはありませんが、それはこうした日々の努力と積み重ねによるものだったんですね。ちなみに彼らは、本来のパラグアイの言葉であるスペイン語もグアラニー語もペラペラです。
ピラポでは、日本の伝統文化も大切に受け継がれています。若者が演じているのは鬼剣舞。岩手県北上市に古くから伝わる伝統芸能です。移住者は日本のあちこちからやってきましたが、その中の岩手県出身の方が伝授したそうです。完成度も高く、素晴らしい!
こちらも同じく岩手県のさんさ踊り。盛岡さんさ踊りは東北五大祭りのひとつとして知られていますね。
日本のスポーツと言えば相撲。
野球もやっていました。1990年代にヤクルトスワローズのエースとして活躍した岡林洋一投手は、ピラポの北にある移住地、イグアスの出身です。
太鼓保存会は1973年に発足しました。まずは太鼓を作ることから始まり、今ではパラグアイの方の会員もいるほどの人気を誇っています。
太鼓保存会が一番得意としている曲がピラポ音頭です。
「♪祖国(くに)を離れて辿り着いたよ 赤い大地のパラグアイ〜」の出だしで始まるピラポ音頭は、夏祭りや式典などには欠かすことの出来ないもの。移住者たちの魂が込められている歌詞は、何度聞いても現地を思い出して涙が出そうになります。(歌詞はパラグアイ日本人会のホームページの下の方をご覧ください。)
日本から18000kmも離れたパラグアイで、本当の日本に出会えるとは、夢にも思いませんでした。ピラポへの旅は、今までで最も感動した旅のひとつです。
遥かなる地球の裏側に夢を馳せた人々―南米パラグアイ在住日系移住者の声
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