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世界の絶景を旅するテレビ番組制作会社のブログ

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モバイルバッテリーやリチウムイオン電池を飛行機に持ち込む方法

技術・機材

先日、スカイマークでモバイルバッテリーが発火したとのニュースがありました。【スカイマーク機が緊急着陸 乗客の充電器発火(時事通信)】最近ちょっと機材がらみの投稿が多く恐縮ですが、今回は旅行などでは欠かすことのできないリチウムイオンバッテリーの機内持ち込みの方法と対策についてお話ししたいと思います。


リチウムイオン電池は軽量で高容量なため、様々な電子機器のバッテリーとして使用されています。例えばデジカメやビデオカメラ、スマホや携帯電話のバッテリーは、ほぼ全てがリチウムイオン電池です。しかしリチウムを筆頭に発火しやすい物質を材料にしていることで、誤った使い方をしたり気温など外部条件の急激な変化が起きた場合、また製品そのものが粗悪品の場合は発火する可能性があり、各航空会社では以前から飛行機への持ち込みを規制していました。

リチウムイオンバッテリーの持ち込み規制内容

飛行機に持ち込む際にはほとんどの航空会社で規制がかかっています。航空会社によっても若干異なりますが、基本的には以下の2つです。

(1) バッテリーが内蔵か単体か
(2) ワット時定格量が100Wh以下か、160Wh以下か、あるいはそれ以上か

(1) はバッテリーが使用する電子機器に内蔵されているのか、バッテリー単体なのかということです。例えばデジカメのバッテリーはカメラに装着していれば内蔵していると見なされますが、予備として個別に持ち込む場合は単体と見なされます。またモバイルバッテリーも単体と見なされます。

(2) のワット時定格量はあまり聞き慣れない言葉ですが、要はその電池から取り出すことの出来る電気容量のこと。電池に表記してあったり、あるいは下記のような計算で簡単に算出することができます。

ワット時定格量(Wh) = 定格電圧(V) × 定格定量(Ah)


(Wh)はワットアワー、(V)はボルト、(Ah)はアンペアアワーと読みます。弊社で使用しているPanasonicのビデオカメラ 用バッテリー VW-VBD58 は、42Whと明記してあります。

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記載してある定格電圧と定格定量で計算して算出することもできます。このバッテリーの場合、定格定量は5800mAh(ミリアンペアアワー)と記載されているので、上記の計算式に合わせるために1000で割って、単位をAh(アンペアアワー)にする必要があります。計算式は以下のとおりになります。

7.2V × 5.8Ah = 41.76Wh

バイルバッテリーの場合は10000mAhのように定格定量(Ah)のみが書かれていることが多いですが、ほとんどの場合は中身がリチウムイオン電池なので、定格電圧は3.7Vで計算すればよいでしょう(使用セルによっては3.6Vの場合もあります)。ここで注意するべきは、定格電圧はUSB端子から出力される5Vではないということです。もし5Vで定格定量が計算されている場合は、例えば「5V 2000mAh」のように表記されています。

例えばモバイルバッテリーで有名なAnker製でも大容量の Power Core 20100 の場合、本体にワット時定格量の記載はありませんが、定格定量が20100mAhなので、定格電圧3.7Vで計算すると以下のようになります。

3.7V × 20.1Ah = 74.37Wh

しかしAnkerの公式HPを見ると72.36Whと記載されているので、使用セルが3.6Vのものであることが分かります。こうしてみると、ワット時定格量が100Whを超えるのはかなり大きなバッテリーであることが分かりますね。定格電圧3.7Vで計算すると、100Whを超えるには27000mAh以上必要になります。


ワット時定格量の調べ方が分かったところで、実際のリチウムバッテリー規制状況を見ていきましょう。航空会社によって異なる場合がありますので、ご利用になる航空会社に問い合わせるのが一番ですが、ここでは日本航空(JAL)の場合を見てみます。

バッテリーが内蔵の場合

バッテリーが内蔵である場合は、ワット時定格量が160Wh以下である場合は個数無制限で持ち込めます。また預け入れ荷物にバッテリーを入れる場合は、この方法が唯一の方法となります。

バッテリー単体で持ち込む場合

バッテリー単体で持ち込む場合は、いかなる場合も預け入れはできません。あとは機内に手荷物で持ち込むしかないのですが、ここで重要なのがワット時定格量。100Wh以下の場合は個数無制限、100Whより大きく160Wh以下の場合は1人2個まで、160Whより大きい場合は持ち込み不可となります。まとめると、以下のようになります。

ワット時定格量 機内持ち込み 預け入れ
100wh以下 無制限 内蔵のみ可
100Whを越え160Wh以下 1人2個 内蔵のみ可
160Whより大きい 不可 不可

つまり、27000mAh以内のモバイルバッテリーは個数制限なしで持ち込めるというわけです。ところがよく見るとひとつ但し書きがあります。単体で機内持ち込みできるのは「ショートしないように個別に保護してあるもの」。つまりバッテリー単体の場合は、そのまま裸で持ち込むことはできないということです。

なぜ内蔵バッテリーは持ち込みも預け入れもOKなのかというと、端子が電子機器に接続されていることで、まずショートが起きないと思われるからです。なので単体のバッテリーでもきちんと絶縁処理すれば機内持ち込みはOKにしますよというのが、これらの規制の主旨だったわけですね。ではどのように処理をすればよいのでしょうか?

機内持ち込みの具体的方法

絶縁の方法はいろいろありますが、一番のおススメはジップロック付きのビニル袋にバッテリーをひとつずつ入れて封印することです。弊社ではさらにビニルテープを端子部分に貼って保護しています。こうすることで、少しでも発火や爆発の危険を回避することができます。またバッテリーによっては購入時にプラスティックのケースに入ってくることもあるので、そのようなケースをうまく活用するのもいいでしょう。

今回のような事故が起きてしまうと、航空会社の規制が厳しくなることも考えられますので、バッテリーは粗悪品を使用しないことと、しっかり絶縁することを念頭においておきたいと思います。なお弊社では、HDCAMなど大型カメラのバッテリーには、今でもニッケル水素バッテリーを使用しています。これだと余程のことがない限り、預け入れることもできますので。