「海のハンター展」に今すぐ行くべき理由
今、東京・上野の国立科学博物館で開催されている「海のハンター展」。ホホジロザメに代表される海のハンターたちの素顔に迫るこの特別展、一番の注目はおそらく世界初といわれている「ホホジロザメの全身液浸標本」でしょう。弊社では、この液浸標本のメイキング映像を始め、特別展内で上映されている各種映像の作成を担当させていただきました。
液浸標本になっているホホジロザメは、2014年にはえ縄にかかっていたもの。体長3.2m、体重320kgのオスで、沖縄県本部町の冷凍室でずっと冷凍保存されていましたが、今回の特別展にあわせて解凍され、液浸標本になりました。
液浸標本とは、内臓など体内の組織もそのままに、ホルマリンやエタノールの水溶液に浸して作る標本のこと。表面だけの剥製と異なり、内部組織も保存されるため、後々の研究にも使えるたいへんすばらしい方法ですが、今回のホホジロザメはとにかく大きいので、特別な水槽やその重量を支える台、大量のホルマリン溶液など、普通の液浸標本作りでは計り知ることの出来ないたくさんの苦労がありました。
詳しい作成方法やメイキングは特別展での展示映像をご覧いただけると助かりますが、簡単に説明すると、
真水に冷凍ホホジロザメを丸一日浸して解凍
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傷を補正、口を開け、姿勢を整える
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筋肉固定のためホルマリンを筋肉に注射して丸一日放置
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10%ホルマリン溶液に浸して3ヶ月放置
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ホルマリン溶液から取り出して沖縄から搬送
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展示用水槽にホホジロザメを設置
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新しいホルマリン溶液を満たす
という流れになります。
ホルマリンによる液浸標本は他の標本に比べてメリットが多いですが、実は欠点もあります。それは、標本が少しずつですが脱色していってしまうこと。つまり、このホホジロザメは少しずつ色がなくなっている可能性があるんです。ですので、ホホジロザメの本来の色彩を御覧になりたい方は、一日でも早く「海のハンター展」に行かれることをお勧めします。なお海のハンター展は、10月2日まで開催しています。(海のハンター展公式HP)